新化学化社会論(村田逞詮、T.Murata)

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help リーダーに追加 RSS 熱力学系としての“生物”に於けるエントロピー増大則

<<   作成日時 : 2008/12/28 22:33   >>

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 太陽系の天体も含め、通常の物体の挙動は、古典物理学の範疇で論ぜられる。
 従い、一般の生物は言うまでもなく、人間と言えども、物理学的には力学、熱力学で律せられる物体(物質、物質系)に他ならない。
 ここで、“人間とその生息環境との系”、あるいは、人間個人(以下、“人間個人系”と記す)をも、一つの熱力学系と見なし、考察を加える。

 今年の夏は記録的な猛暑で室内にいた人にも、熱中症が観測されているが、熱中症は、言わば、“人間とその生息環境との系”、並びに、その部分系としての“人間個人系”のエントロピーが、極限(熱平衡)近くまで上がってしまった熱力学的状態である。

 肉体労働やスポーツは言うに及ばず、精神的な思考(知的労働)も含めた人間一人ひとりの活動は、“人間個人系”の熱力学的仕事(以下、「仕事」と略す)に他ならない。

 熱力学第二法則は、“人間個人系”の「仕事」の必要条件として、“人間個人系”のエネルギー(内部エネルギー)を「仕事」に落とし込んでいくための「低熱源」を、生息環境に求めている。

 換言すれば、“人間個人系”が「仕事」をするためには、その内部エネルギーが、熱力学第二法則に則って“流れ込める”「低熱源」を、“人間とその生息環境との系”内のどこかに、必要としている。

 従い、“人間とその生息環境との系”のエントロピーが極限に達した熱平衡状態は、その部分系である“人間個人系”にとっても、その外系(“人間とその生息環境との系”)と熱平衡状態にあることになり、“人間個人系”の内部エネルギーが“流れ込める”「低熱源」が無いこと、即ち、熱力学的に「仕事」が出来ない状態になる。

 従って、熱中症に見舞われた“人間個人系”は、労働はおろか単純な思考(これも“人間個人系”の「仕事」)をめぐらすことすら出来ない。

 従って、この状態に陥ち入りつつある“人間個人系”は、その再生にエネルギーの補給 [生息環境以上のエネルギーポテンシャル(内部エネルギー)、を獲得するために] と共に「低熱源」(“人間とその生息環境との系”に)を求めねばならない。

 さもなくば、全体系(“人間個人とその生息環境との系”)のみならず、“人間個人系”のエントロピーも、極限(熱平衡)に達することになり、“人間個人系”は“死”に至る。

 通常の人間活動はこうした危機状態にまでは至らないので意識されないが、“人間個人系”の単なる思考をも含めた「仕事」は、すべてその内部エネルギーを「低熱源」に向けて注ぎ込む過程での当該エネルギーの変換物である。

 “人間個人系” に限らず、生物一般の成長、即ち“生きる”とは、系外の「低熱源」に向けて、内部エネルギー(正確には、その一部)を使って、この“欲する”、あるいは、“考える”という「事前の仕事」(系内での“欲求”としての)に加えて、系外から自己の拡大再生産のための食糧等の物質(系内で内部エネルギーに変換できる物質)を取り込む「真の仕事」(系外との相互作用の結果による)をすることを、意味する。

 つまり、当該「真の仕事」は、消費した内部エネルギーの補填を超えるその拡大再生産を意味し、“人間個人系” に限らず、生物一般は、自己の内部エネルギーを高めて、成長する。
 そして、再び、系外の「低熱源」に向けて、高めた内部エネルギーの一部を使い、更なる自己の拡大再生産のための「仕事」に向かう。

 つまり、生物一般は、系外に「低熱源」を求め、自己の内部エネルギーの一部を流し、内部エネルギーの補充・拡大再生産をする「仕事」をさせて、当該エネルギーを消費し、当該「仕事」として、自己の内部エネルギーを高め、同時に、系外との関係では、系外に、高めた自己の内部エネルギーに対する「低熱源」を維持・保存し、それを次に向かうべき「低熱源」とすることを繰り返して、成長しているのである。

 従い、生物一般は、内部エネルギー補充・拡大再生産過程、即ち、自己の系内に「仕事」を構築する過程(生物としての成長を図る過程)では、エントロピーを静準的に下げる、ないしは、上がらないようにしているのである。

 この“エントロピーを静準的に下げる、ないしは、上がらないようにしている”ことが、“生きる”ことを意味し、個々の生物系が、エントロピー増大則に則り、単純にエントロピーを増大させるのみになる場合は、その“死”、更には、その“腐敗”を意味する。

 但し、“生きている”生物系の生息系を含む全体系(自然系)は、大自然の法則、エントロピー増大則に則り、エントロピーを増大させるのみであり、遙か先の“宇宙的熱平衡”に向かっている。

 ちなみに、大宇宙は、大自然の法則、エントロピー増大則に則り、遙か昔の“ビッグバン”以降、遙か先の“宇宙的熱平衡”に向かっている。

 なお、宇宙の進化、太陽系の進化、地球の進化、生物の進化、そして、人間社会の進化(原始時代「狩猟化社会」→古代・奴隷制「都市化社会」→中近世・地代制「農業化社会」→近現代・資本制「工業化社会」→近未来・データベース制「新化学化社会」→遠未来「脳科学化社会」)を含め あらゆる進化は、気の遠くなるくらい遙か昔の“ビッグバン”以降、気の遠くなるくらい遙か先の“宇宙的熱平衡”に向かう過程(エントロピー増大過程)で起こっている熱力学的「仕事」に他ならない。

 [原典:村田逞詮(Toshiaki Murata)、“生物と「エントロピー増大則」”(2004/08/27執筆、加筆修正2008/12/28)]

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「熱力学系としての“生物”に於けるエントロピー増大則」について(続1)
熱力学系としての“生物”に於けるエントロピー増大則(続1)  “熱力学系”としての“人間社会系”の“内部エネルギー”(ポテンシャルエネルギー)が、筆者が予てより拙著、拙稿(※)で説いている“認知・行動ダイナミズム”である。   “認知・行動ダイナミズム”は、具体的には、@“狩猟・採集ダイナミズム”、A“工作・土木ダイナミズム”、B“農業ダイナミズム”、C“メカニカルダイナミズム”D“ケミカルダイナミズム”、E“メディカルダイナミズム”に分類される。 ...続きを見る
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